インコネル10mmの厚板レーザー加工:バリを防ぐ「逆転の発想」とは?
2026年 05月 20日
日頃からステンレスや鉄の厚板加工を主力としている私たちですが、今回は難削材として知られるインコネル(板厚10mm)の加工依頼をいただきました。
薄板での実績はありましたが、10mmという厚板は未知の領域。まずは最適な加工条件を見つけ出す「条件出し」からスタートしました。
インコネル加工における「熱」の誤解
インコネルはニッケルを主成分とする耐熱合金です。「熱に強い=切りにくい」というイメージがあるため、当初はステンレスの切断条件をベースに、加工速度を落としてじっくりと熱を伝えるテストを行いました。
しかし、結果は予想に反して激しいバリ(ドロス)が発生。ところが、同じ条件のまま加工速度を落とさずに(通常速度で)加工したところ、逆にバリの発生が劇的に抑えられたのです。
なぜ「ゆっくり」だとバリが出るのか?
調査の結果、インコネル特有の性質が関係していることがわかりました。
- 極めて低い熱伝導率: ステンレス以上に熱が周囲に逃げにくく、切断部に熱が溜まりやすい。
- 局所的な温度上昇: 速度を落とすと過剰な熱が加わり続け、溶融部が粘りを持って付着してしまう。
- 最適なエネルギー密度の維持: スピードを維持し、熱が広がる前にガスで一気に吹き飛ばすのが正解。
「素材が硬いからゆっくり切る」という常識が通用しない、レーザー加工の奥深さを改めて実感するプロジェクトとなりました。

