【作業効率UP】3Dプリンタ製治具で、レーザー加工の「ひと手間」を解決!
2025年 10月 30日
2次元レーザー切断機は、「平面の板」をカットするのが得意な機械です。
しかし、現場では時折、「L字アングル」や「コの字チャンネル」のような、
**少し形状のある立体物(型材)**に穴あけや切り欠きを入れたい、というご相談もいただきます。
平面用の機械に立体物をそのままセットしても、傾いたり、位置がずれたりするため、正確な加工はできません。
かといって、毎回大掛かりな金属製の固定治具を製作していては、コストも時間もかかってしまいます。
今回は、このような「少し難易度の高い」加工の課題を、
3Dプリンタ製の治具を活用して「短時間」かつ「安価」に解決した事例をご紹介します。
加工内容:アルミ製アングル材への複合加工
今回のご依頼は、アルミ製のアングル材(L字型)に対して、
丸穴
長穴
切り欠き
という複数の加工を、正確な位置に入れる、というものでした。
解決策:3時間で完成する「専用固定治具」
この加工を実現するため、当社ではまず、アングル材を水平かつ正確な位置にビシッと固定するための「専用治具」を3D CADで設計しました。
そして、その設計データをすぐに社内の3Dプリンタに送り、造形を開始します。
この青い部品が、今回製作した治具です。土台となる金属板にこの治具をボルトで固定し、
そこへ加工したいアングル材をはめ込むだけで、誰でも簡単に、毎回同じ位置にアングル材をセットできます。



穴明けが終わった状態
ここから 切り欠き 長穴を加工をしました。
最大のポイント:「短時間」かつ「安価」であること
この手法の最大のメリットは、治具製作にかかるスピードとコストです。
治具の設計時間: 約2時間
3Dプリンタでの印刷時間: 約1時間
なんと、合計わずか3時間で、この加工のための専用治具が完成しました。
もしこれを金属ブロックから削り出して作っていたら、納期もかかるし(1週間くらい?)、コストは数万円?
3Dプリンタ(樹脂)で製作することで、「短時間(すぐに作れる)」「安価(材料費が安い)」の2点を実現し、
お客様の「ちょっと困った」加工にもスピーディーに対応することが可能になりました。
3Dプリント治具の注意点
もちろん、良いことばかりではありません。3Dプリンタの素材は「樹脂(プラスチック)」であるため、「熱」に弱いという特性があります。
レーザー加工は金属を溶かすほどの高熱を発生させます。
今回の治具は、熱が直接伝わる場所を避けて設計していますが、
例えば「何百個も連続で加工する」ような量産品の場合、徐々に熱が伝わって治具が変形し、加工精度が落ちる可能性があります。
熱がかかる場所や、ミクロン単位の超高精度が求められる場所での使用には注意が必要ですが、
今回のよう試作や小ロットの加工であれば、非常に有効な手段です。
まとめ:柔軟な発想で、効率的な加工を
当社では、単にレーザーで切断するだけでなく、3Dプリンタのようなデジタル技術も柔軟に組み合わせることで、
加工の「準備工程」も含めたトータルでの効率化・コストダウンを常に考えています。
「こんな加工、ちょっとやりにくいんだけど…」「専用の治具を作ると高くなるし…」
そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。お客様にとって最適な「安くて早い」方法をご提案します。
