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レーザー加工のAIデータ入稿時によくある問題点

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レーザーテックでは、アーティストの方や学生さん、デザイナー様から、Adobe Illustrator(AIデータ)でのご入稿をいただくことが多くあります。

CADソフトとは異なり、デザインソフトであるIllustratorは、レーザー加工用データとして使用する際に特有の「落とし穴」がいくつか存在します。データ不備は、納期遅れや意図しない加工結果につながるため、事前のご確認が非常に重要です。

今回は、Illustratorデータでよく発生する問題点と、スムーズな加工のための「ベストな入稿方法」をご紹介します。


1. 縮尺が「原寸大」になっていない

Illustratorのデータで最も多い問題の一つが縮尺です。

アートボードのサイズに合わせてデザイン全体を縮小して保存されているケースが非常に多く見られます。レーザー加工機は、データ上の「1mm」をそのまま「1mm」として読み込みます。

必ず、お客様が加工を希望される**「原寸大(1:1スケール)」**でデータを作成・保存してください。

2. テキスト(文字)がアウトライン化されていない

これはレーザー加工において絶対条件となります。

PC上で文字が正しく表示されていても、それは「フォントデータ」を参照している状態です。私達の加工機やCADソフトでそのフォントがインストールされていない場合、文字が別のフォントに置き換わったり、正しく表示されず消えてしまったりします。

必ず、入稿前にすべてのテキストデータを選択し、**「アウトラインを作成」**を実行して、文字を「図形」に変換してください。

3. 「線の太さ」で形状を表現している

Illustratorでは、線に「5mmの太さ」といった設定が可能です。しかし、レーザー加工機が読み取るのは、その線の中心線(パス)1本のみです。

例えば、5mm幅の枠を切り抜きたい場合、「線幅を5mm」に設定するのではなく、その線を**「パスのアウトライン」**機能で「5mm幅の図形(2本の線)」に変換する必要があります。

4. 「マスク」で不要な部分を隠している

デザイン上、不要な部分を隠すために、上から白い図形を重ねて「マスク」として使用するケースがあります。

見た目上は隠れていますが、データ上はその**隠れた線も、隠すために使った白い図形の線も、すべて存在しています。**アウトライン表示(パス表示)に切り替えると、これらの不要な線がすべて現れ、そのまま加工されてしまいます。不要な線は「トリム」や「パスファインダー」機能で完全に削除してください。

5. お客様によるDXF変換での不具合

「レーザー加工だから」と、お客様側でAIデータをDXF形式に変換して支給いただく場合があります。

しかし、IllustratorからDXFへの変換は、特に**R(曲線・円弧)の部分が、滑らかな曲線にならず「短い直線の集まり(カクカクした状態)」**になってしまうことが頻発します。

この場合、元のIllustratorデータのほうが、はるかに滑らかな曲線データを持っていることが多いです。無理にDXFに変換せず、AIデータのままお送りいただく方が良い結果になる場合も多々あります。


【推奨】最も確実なご入稿方法

データ不備によるトラブルを防ぐため、弊社では以下の2点をセットでお送りいただくことを推奨しています。

  1. Illustratorデータ(AI形式)

    • バージョンは、互換性を考慮し、CS6やIllustrator 8など、できるだけ古いバージョンで保存してください。

  2. 確認用のPDFデータ

    • 完成したデザインをPDF形式でも書き出したものです。

AIデータは加工用、PDFは「お客様の意図した完成形」を私達が目で確認するための「仕様書」として使用します。この2つがあれば、万が一AIデータに縮尺や文字化けがあっても、私達がPDFと照合して「データがおかしい」と気づくことができます。


まとめ

正しいデータをご用意いただくことで、データ修正の手間が省け、結果としてお客様への納期短縮とコストダウンに繋がります。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


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by tarolin. | 2025-10-29 09:44 | ステンレスレーザー | Trackback | Comments(0)